国内で販売されている補聴器は、世界の6大補聴器ブランドをはじめとした海外製も多く、どれを選べば良いのか迷う方も少なくありません。
近年、補聴器業界で先端を走るブランドでは、聞こえのサポートだけでなくデザイン性やアクセサリー、AIを活用した最新技術などにも力を入れた製品が増えています。そのため、自分の聞こえ方や生活スタイルに合ったブランドを選ぶことで、日常の快適さは大きく変わってきます。
そこで今回は、世界の6大補聴器ブランドの特徴や違い、選び方のポイントについて分かりやすくご紹介します。
世界の6大補聴器ブランド

補聴器ブランドの中でも、特に高い評価と実績を持つ企業は「世界の6大補聴器ブランド」と呼ばれています。代表的なブランドは以下の6社です。
- フォナック(Phonak)
- オーティコン(Oticon)
- ワイデックス(Widex)
- シグニア(Signia)
- リサウンド(ReSound)
- スターキー(Starkey)
これらのブランドは、世界中の難聴者の聞こえをサポートしており、それぞれが長年の研究によって培われた独自の技術や強みを持っています。音の処理方法やAI技術、装着感などに違いがあり、自分のライフスタイルや聞こえ方に合った製品を選べるのが特徴です。また、日本の補聴器販売店でもこれらのブランドの製品を購入・相談することが可能です。
| 企業 | 設立年 | 設立国 | |
| フォナック | Sonova | 1947年 | スイス |
| オーティコン | Demant | 1904年 | デンマーク |
| ワイデックス | WSAudiology | 1956年 | デンマーク |
| シグニア | WSAudiology | 1878年 | ドイツ |
| リサウンド | GN | 1943年 | デンマーク |
| スターキー | Starkey | 1967年 | アメリカ |
価格についてはブランドによる大きな差が少なく、一般的には両耳で20万〜130万円程度(※充電器などの料金も含む)が目安とされています。
フォナック(Phonak)

フォナックはスイスに本社を置く補聴器専門ブランドです。補聴器業界の中でも革新技術の導入に積極的で、現在では100カ国以上で製品を展開し、幅広い世代の聞こえを支えています。世界シェアでもトップクラスとされており、長年にわたり補聴器市場をリードし続けています。
フォナックの補聴器の特徴
フォナックの特徴は、豊富な商品ラインナップにあります。軽度から高度難聴まで幅広く対応しており、子どもから高齢者まで、それぞれの聞こえに合わせた補聴器を選べる点が強みです。
なかでも注目されているのが、周囲の音環境を分析して最適な聞こえを自動で調整する「オートセンスOS」です。使用シーンに応じて複数のプログラムを自動的に切り替え・調整することで、常に快適な聞こえを実現します。
また、「サウンドリカバー」という機能も特徴的で、聞き取りにくい高音域の音を低音域に変換することで、言葉の識別をサポートします。さらに、スマートフォンやテレビとの接続機能にも優れており、日常生活での使いやすさも高く評価されています。
フォナックの補聴器の最新モデル
フォナックの最新モデルとして注目されているのが、2025年に登場したインフィニオシリーズです。超高速処理機能を持つ「ERAチップ」と、サウンド処理専用チップ「DEEPSONIC™」を搭載し、言葉と雑音を切り分けて処理することで、よりクリアな音声を実現しています。さらに、AIによる音環境の分析機能も強化されており、1秒間に約700回のスキャンを行いながら、その場に最適な聞こえへと自動調整してくれます。
加えて、Bluetooth機能により通話音声を直接補聴器で聞くことができるほか、防水性能にも優れているため、日常のさまざまなシーンで安心して使用できます。まさに環境に合わせて最適な聞こえを提供する次世代の補聴器といえるでしょう。
フォナックの補聴器は
『最新の補聴器技術を使用したい人』におすすめ
- 最新技術を搭載した補聴器を使いたい人
- 言葉の聞き取りやすさを重視したい人
- 雑音の多い環境でもクリアに会話を楽しみたい人
- 防水性など機能性の高い補聴器を求めている人
オーティコン(Oticon)
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オーティコンはデンマークに本社を置く補聴器ブランドで、創業者ハンス・デマントが難聴を抱える妻のために補聴器の輸入を始めたことをきっかけに誕生しました。人の聞こえに真摯に向き合ってきた120年以上の歴史を持ち、現在では世界的に高い評価を受けているブランドの一つです。
オーティコンの補聴器の特徴
オーティコンの大きな特徴は、「BrainHearing(ブレインヒアリング)」という考え方に基づいた技術です。脳本来の聞く働きを適切にサポートする技術で、より自然で負担の少ない聞こえを目指しています。
また、1,200万件以上の実生活の音データをもとに学習したAI技術「DNN(ディープニューラルネットワーク)2.0」は、騒がしい環境でも音声と雑音をバランスよく処理し、快適な聞こえを実現します。「じぶんセンサー」と呼ばれる機能も特徴的で、ユーザーの動きや聞きたい音の方向を感知し、その場の状況に応じて最適な聞こえを自動で調整します。
オーティコンの補聴器の最新モデル
オーティコンの最新モデルとして注目されているのが、じぶんセンサーを搭載したインテントシリーズです。ユーザーの行動や環境に合わせて、より精度の高い音調整が可能になっています。
また、新たなラインナップとして登場したジールシリーズは、目立ちにくい耳あな型でありながら高機能を備えているのが特徴です。常時稼働するAIにより音の変化に即座に対応し、不要なノイズを瞬時に抑えることで、騒がしい場所でも会話の明瞭度を高めます。
オーティコンの補聴器は
『外出時の会話をしっかり聞き取りたい人』におすすめ
- 雑音のある環境でも会話を明確に聞き取りたい人
- できるだけ自然な聞こえを重視したい人
- 音の方向感覚を大切にしたい人
- 脳科学の知見を取り入れた補聴器を使いたい人
ワイデックス(Widex)

ワイデックスはデンマークに本社を置く補聴器ブランドで「Most Natural Sound(最も自然な音)」をコンセプトに掲げています。周囲の音をありのままに再現し、装着していることを忘れるほど自然で快適な聞こえを目指しています。
ワイデックスの補聴器の特徴
ワイデックスの大きな強みは、独自の「Zero Delay(ゼロディレイ)テクノロジー」です。マイクからレシーバーまでの音声処理の遅延を0.1ミリ秒未満に抑えることで、生の音と補聴器で増幅される音のズレを最小限に抑え、違和感のない、より自然でクリアな音質を実現しています。
日常会話の聞き取りやすさはもちろん、音楽鑑賞においても原音に近い自然な音を楽しめるのがポイントです。
ワイデックスの補聴器の最新シリーズ
ワイデックスの最新シリーズとして注目されているのが、世界初のクラウド補聴器「アルーア」です。クラウド上に蓄積した世界中のビッグデータを調整に活かすことで、より効率的に理想の音に近づけることに成功しました。さらに新開発のW1チップを搭載し、処理スピードや搭載メモリなどに特化した先進機能によって、聞き逃しやすい小さな音や繊細な音まで自然に再現します。
2025 Hearing Technology Innovator Awards※を受賞するほど高く評価されている専用のアプリは、自分の好みや環境に合わせて音質を細かく調整できます。
※米国の専門メディアが主催する、聴覚業界の革新的な技術や製品を称える国際的な賞
ワイデックスの補聴器は
『できるだけ自然な聞こえを重視したい人』におすすめ
- 補聴器を着けていない時と変わらないような自然な音を聞き取りたい人
- 音質にしっかりこだわりたい人
- 音楽を聴く機会が多い人
シグニア(Signia)

シグニアは、ワイデックスと同じWSAudiology社が展開する補聴器ブランドです。140年以上にわたり培ってきた補聴器技術と聞こえのノウハウをもとに、音質だけでなくスタイリッシュなデザインにもこだわった製品を展開しています。
シグニアの補聴器の特徴
シグニアの補聴器は、騒がしい環境でも会話を聞き取りやすくする機能が充実しています。代表的なのが「ロックオン機能」で、複数人の声を同時に捉えながら、会話を明確に聞こえるようサポートします。
さらに「ダブルプロセッサー」も魅力的な機能で、言葉と環境音を別々に処理することで、より自然でバランスの取れた聞こえを実現しています。また、周囲360°の音を常に分析し、どのようなシーンでも最適な音質へ自動調整できる「Xセンサー」という機能も特徴的です。
加えて、「見せない補聴器」として世界初の超小型充電式耳あな型補聴器を開発するなど、見た目と機能性の両立にも配慮しています。
シグニアの補聴器の最新モデル
シグニアの最新モデルである「IXシリーズ」は、ロックオン機能に加えて、スマートフォンアプリやAIを活用した音質調整に対応しているのが特徴です。周囲の環境に合わせて音量や音質を自動で最適化でき、より快適な聞こえを実現します。
また、イヤホン型から耳かけ型まで幅広いラインナップが用意されており、生活スタイルや好みに合わせて選べるのも魅力です。
シグニアの補聴器は
『デザイン性と機能面を求める人』におすすめ
- 大勢の場で会話をしっかり聞き取りたい人
- 補聴器の機能だけでなく、見た目にもこだわりたい人
- デザイン性の高いおしゃれな補聴器を使いたい人
- できるだけ目立たない補聴器を選びたい人
リサウンド(ReSound)

リサウンドは、聞こえに悩む方が周囲と自然につながれることをコンセプトにした補聴器ブランドです。補聴器を装着していることを忘れるほどの自然な聞こえや装着感、使いやすさを追求しており、日常生活に溶け込む快適な使用体験を重視しています。
リサウンドの補聴器の特徴
リサウンドの大きな特徴として、人間の耳の仕組みを再現することを目指した「サラウンド・サウンド」技術が挙げられます。この音声技術により、周囲の音を自然に捉えながら、音の方向や距離感も把握しやすくなります。少人数での会話はもちろん、騒がしい環境でも無理なく聞き取りやすくなるのが魅力です。
また、自然な着け心地を追求した耳にフィットする設計や、スマートフォンやパソコンなどと連携できるアクセサリーにもこだわっており、日常生活の利便性を高められる点も評価されています。
リサウンドの補聴器の最新モデル
リサウンドの最新モデルとして注目されているのが「リサウンド・ビビア」です。騒がしい環境で脳が必要な音を選び取る働きをサポートする「インテリジェント機能」を搭載しています。
これにより、周囲の雑音の中から聞きたい言葉に集中しやすくなり、聞き取りにかかる負担を軽減できます。会話をよりスムーズに楽しみたい人に向いているでしょう。
リサウンドの補聴器は
『本物の耳に馴染む聞こえや着け心地が欲しい人』におすすめ
- できるだけ自然な聞こえを重視したい人
- 自然な着け心地にこだわりたい人
- 音の方向感や奥行き感を大切にしたい人
- 複数の機器と連携して利便性を高めたい人
スターキー(Starkey)

スターキーはアメリカ・ミネソタ州に本社を置く補聴器ブランドで、オーダーメイド補聴器の先駆者として知られています。斬新な発想と高い技術力を強みに、常に最新のテクノロジーを取り入れながら、聞こえに悩む人々へ最適なソリューションを提供し続けているブランドです。
スターキーの補聴器の特徴
スターキーの大きな特徴は、専用アプリと連携することで、補聴器の枠を超えた機能を利用できる点です。活動量や心拍数の測定といった健康管理機能に加え、万が一の転倒時に家族や介護者へ通知する機能も備わっており、日常の安心をサポートします。
また、センサーとAIを搭載した「ジェネシスAI」という技術も開発されており、周囲の音環境を瞬時に分析し、雑音の抑制や音量の調整を自動で行うことで、常に快適で最適な聞こえを実現できます。
スターキーの補聴器の最新モデル
スターキーの最新モデルとして注目されているのが「オメガAI」です。AIによる高度な音質調整に加え、目立ちにくくスタイリッシュなデザインを採用しているのが特徴です。長時間使用しても疲れにくく、高い防水性能や耐久性も備えているため、さまざまなシーンで安心して使用できます。
また、アプリと組み合わせることで健康管理機能に加え、生成AIによる質問対応やスケジュール管理など、より幅広いサポート機能を活用できる点も魅力です。
スターキーの補聴器は
『高性能の補聴器を使用しながら健康面も管理したい人』におすすめ
- AI技術を活用した高機能な補聴器を使いたい人
- アクティブなライフスタイルを送りたい人
- 健康管理や転倒検出などの機能を活用したい人
- 耐久性の高い補聴器を長く使いたい人
日本の大手補聴器ブランド

日本にも、長い歴史を持つ補聴器ブランドがあります。
リオネット
1948年に国内初の量産型補聴器を発売した老舗補聴器ブランド。設計から製造まで自社工場で手がけています。皇族の方もご利用されるなど、国内最大手として確かな信頼と実績を築いています。
小型の耳あな型やポケット型、防水機能など、日本人の聞こえや使用環境に合わせた多様なラインナップがあります。また全国に広がる販売店網による、きめ細かなアフターサービスも強み。
コルチトーン
日本初の眼鏡型やポケット型などの補聴器を開発した1957年設立の補聴器ブランド。
マキチエ
1945年設立の補聴器ブランド。医療機関と連携し、医師の診断に基づいた補聴器の製造と販売を行うスタイルが特徴的。
これらはいずれも国内で実績のあるブランドです。
一方で、補聴器市場全体で見ると、現在は前半で紹介した6社の海外ブランドが主流となっています。実際に国内外の多くの店舗では、海外ブランドを中心に複数ブランドを取り扱っているケースが一般的です。
補聴器を選ぶ際にチェックすべきポイント

補聴器の6大ブランドは、それぞれ異なる技術や特徴を持っています。そのため、自分の生活環境や聞こえの悩みに合わせて選ぶことが重要です。価格やブランドだけで決めるのではなく、「どんな場面で使うのか」「どの程度の聞こえを求めるのか」といった視点で検討することで、より満足度の高い選択ができます。
聴力レベル
補聴器を選ぶ際に最も重要なのは、自分の聴力レベルを正確に把握することです。自己判断ではなく、補聴器相談医が在籍する耳鼻咽喉科を受診し、聴力検査を受けることをおすすめします。検査結果に基づいて、レベルに応じた適切な補聴器の種類や性能が決まります。
補聴器の種類
近年の補聴器には、耳あな型や耳かけ型、RIC型など、さまざまなタイプの補聴器が登場しています。
- 耳あな型:耳の穴に入れるタイプで、目立ちにくい見た目が特徴
- 耳かけ型:耳の後ろにかけるタイプで、耳あな型より重度の難聴に対応しやすい
- RIC型(耳かけ型):耳かけ型で音の出るスピーカーが耳の穴の中にあるタイプ
それぞれ装着感や見た目、性能に違いがあるため、自分の生活スタイルや装着時の違和感の少なさなどを考慮して選ぶことが大切です。
補聴器の種類については以下の記事で詳しく解説しておりますので、気になる方はぜひご一読ください。
付属している機能
前半でもご紹介したように、補聴器には騒音抑制機能や充電式バッテリー、Bluetooth接続など、便利な機能やアクセサリーが搭載されているものも増えています。生活シーンに応じて必要な機能を見極めることで、より快適に使用できます。
専門家と相談
補聴器選びに迷った場合は、補聴器相談医や認定補聴器技能者に相談するのがおすすめです。専門的な視点で最適な機種の提案だけでなく、購入後の調整やアフターケアにも対応してくれるため、安心して長く使い続けることができます。
補聴器購入の流れについて、より詳しく知りたい方は以下の記事をぜひご覧ください。
まとめ:自分に合った補聴器を選んで、快適な聞こえを手に入れよう

世界の6大補聴器ブランドは、それぞれ独自の技術や強みを持ち、さまざまな聞こえや生活のニーズに対応しています。補聴器を購入する際は価格やブランドだけで決めるのではなく、専門家と相談しながら自分の聴力や生活スタイルに合ったものを試聴して選びましょう。
監修
小島 敬史
現国立病院機構栃木医療センター耳鼻咽喉科医長。
全例で補聴器適合検査を行い、補聴器の処方についても自ら特性図・適合検査結果を確認、調整の指示を行っている。
【略歴】
2006年、慶應義塾大学医学部卒。臨床研修修了後、2008年より同大学耳鼻咽喉科学教室へ所属。日本耳鼻咽喉科学会専門医、指導医取得。耳科、聴覚を専門とし、臨床研究や基礎研究に従事する。2018年から2020年、米国ノースウェスタン大学耳鼻咽喉科頭頸部外科でポストドクトラルフェローとして先天性難聴の蛋白機能解析に関する基礎研究に従事。2013年慶應義塾大学病院耳鼻咽喉科で難聴・耳鳴外来を担当。宇都宮方式での補聴器処方を学ぶ。
江崎 優
聞こえと暮らし研究所 所長。認定補聴器技能者。
大手補聴器メーカーで長年、全国の販売店延べ数百店舗の技術指導・接客サポート・調整サポートに従事。現在はフジ医療器(補聴器事業部)に所属。メーカー・販売店の両視点を持つ「作る側と売る側、両方を知る専門家」。
その経験から、消費者が信頼できる情報源の必要性を感じ、当研究所を創設。全国での講演実績多数。
執筆
聞こえと暮らし研究所 編集部
聞こえや難聴に関する正しい理解を広めるとともに、補聴器をはじめとする聴覚ケアの最新情報や、快適な聞こえを支える工夫を発信しています。日々の暮らしに寄り添う情報提供を通じて、聞こえに悩む方々の生活の質(QOL)向上に貢献していきます。