花粉症による耳の詰まり・こもり・聞こえにくさの原因と治し方を徹底解説

難聴

花粉症の時期に「耳が詰まる」「聞こえにくい」といった症状を感じて、不安になったことはありませんか。

花粉症による耳の症状は、鼻の炎症によって耳と鼻をつなぐ「耳管」の働きが低下することで起こります。多くは一時的なものですが、症状が続くと日常生活に支障が生じるケースも多いため、適切に対処することが重要です。

この記事では、花粉症によって難聴のような症状が起こる原因や具体的な症状、セルフケアや受診の目安についてわかりやすく解説します。花粉症の時期に耳の違和感が気になっている方は、ぜひ最後まで読んで正しい対処法を知りましょう。

花粉症で難聴が起こる原因

花粉症は、スギやヒノキなどの花粉が原因で鼻炎の症状を引き起こすアレルギー性の病気です。特に春先に多くみられます。代表的な症状として挙げられるのは、サラサラとした大量の鼻水やくしゃみ、鼻詰まりなどです。こうした症状は日常生活に支障をきたすことも多く、実は耳にも影響を及ぼし、難聴のような聞こえにくさを感じるケースがあります。

耳の奥には「中耳(ちゅうじ)」という空間があり、この中耳と鼻の奥は「耳管(じかん)」という細い管でつながっています。耳管は中耳の気圧を外の空気と同じ状態に保つ役割を担っており、音を正しく伝えるために欠かせない器官です。しかし、花粉症によって鼻の詰まりや粘膜のむくみが起こると、耳管の機能に影響が及ぶことがあります。

鼻詰まりの影響

鼻が詰まると、耳管の開閉がスムーズに行われなくなり、中耳の圧力調整がうまくできなくなります。耳管が開かない状態が続くと、中耳の中は外よりも圧が低い状態になり、鼓膜が内側に引っ張られます。

この状態では、鼓膜が十分に振動できなくなり、外から入ってきた音がうまく伝わりません。その結果、音がこもって聞こえたり、聞こえにくいと感じたりするようになります。特に鼻詰まりが強い場合は、耳の違和感も出やすい傾向にあります。

鼻の粘膜のむくみ

花粉症では、アレルギー反応によって鼻の粘膜が腫れ、むくみが生じます。このむくみは鼻の中だけでなく、耳管の周囲にも広がることがあります。耳管の入り口付近が腫れると、管の内側が狭くなり、空気の通りが悪くなってしまうのです。

その結果、耳管が一時的にふさがれた状態となり、中耳の圧力が正常に保てなくなります。これは鼻詰まりと同様に、鼓膜の動きを妨げる原因となり、耳の詰まりや聞こえにくさを引き起こす原因になります。

花粉症で起こる耳の症状

花粉症は耳の詰まりや聞こえにくさ、耳鳴り、かゆみといった違和感を引き起こすことがあります。これらの症状は一時的なことが多いですが、状態によっては注意が必要なケースもあります。耳にどのような症状が起こるのか詳しく知っておきましょう。

耳が詰まる・聞こえにくい

花粉症による耳の症状としてよく見られるのが、耳が詰まったような感覚や、音がこもって聞こえる状態です。これは、鼻や耳管の粘膜が腫れることで耳の奥の気圧がうまく調整できなくなるために起こります。

具体的には、以下のような症状が多いです。

  • 耳が詰まった感じがする
  • 音がこもって聞こえる
  • 聞こえにくい

人によっては、軽い難聴のように感じることもあり、会話が聞き取りづらくなるケースもあります。この感覚は、飛行機に乗ったときに耳が詰まる感じに似ていることが多く、日常生活の中で違和感を覚える場面が増えるケースもあります。

多くは一時的な症状ですが、繰り返し起こるとストレスの原因になるため注意が必要です。ただし、2日以上続く場合、中耳炎や突発性難聴になっている可能性もあり、耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。

耳鳴りがする

花粉症の影響で耳の圧力バランスが崩れると、「キーン」や「ジー」といった耳鳴りが起こることがあります。これは耳管の働きが低下し、中耳の状態が不安定になることで起こると考えられています。

多くの場合は一時的なもので、花粉症の症状が落ち着くとともに改善していきますが、耳鳴りが長く続いたり、強く感じたりする場合は注意が必要です。耳鳴りは感音難聴など他の耳の病気でも起こる場合があるため、少しでも気がかりな場合は早めに医療機関を受診することが大切です。

耳がポコポコする

花粉症のときには、耳の中で「ポコポコ」と音がしたり、空気が動くような違和感を覚えたりすることがあります。これは耳管が開いたり閉じたりする際に、中耳の圧力が変化することで起こる現象です。頻繁に起こると不快に感じやすくなりますが、多くは耳管の働きが一時的に不安定になるのが原因です。

耳がかゆい・痛い

花粉症ではアレルギー反応によって、鼻だけでなく耳の周囲にもかゆみや痛みを感じることがあります。特に外耳道の皮膚が敏感になり、かゆみが出やすくなるケースも多いです。

ただし、強い痛みを伴う場合や、かゆみが長く続く場合は、外耳炎や中耳炎などの病気が隠れている可能性もあります。自己判断で放置せず、症状が気になる場合は耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。

花粉症による難聴のセルフケア

花粉症による耳の聞こえにくさは、鼻の炎症や耳管の働きの低下が関係しているため、日常的なケアによって改善が期待できます。市販薬の活用や鼻うがい、耳抜きなどによって、耳や鼻の負担を軽減することが可能です。

さらに、室内環境を整えることも症状の悪化を防ぐポイントになります。無理のない範囲でセルフケアを行い、症状の改善を目指しましょう。

市販薬を使用する

花粉症の症状が強い場合は、市販薬を上手に活用することで鼻の炎症を抑え、結果的に耳の症状の改善につながる場合があります。

飲み薬は抗ヒスタミン薬が代表的です。これらはアレルギー反応を抑えてくしゃみや鼻水、鼻づまりを軽減する効果があります。また、点鼻スプレー薬にはステロイド点鼻薬や血管収縮薬などがあり、鼻の粘膜の腫れを抑えることで鼻の通りを改善します。

ただし、血管収縮薬の点鼻薬は使いすぎると逆に鼻づまりが悪化するケースがあるため注意が必要です。使用する際は必ず用法・用量を守り、自己判断で長期間使用しないようにしましょう。

薬の選び方や使い方がわからない場合は、医師もしくは薬剤師に相談するか医療機関を受診することが大切です。

鼻うがいをする

鼻うがいは鼻の奥にたまった花粉や鼻水を洗い流すことで、鼻の炎症を軽減し、耳管の通りを良くする効果が期待できます。手軽にできるセルフケアのひとつです。

人肌の温度で、生理食塩水や専用の洗浄液を使用すると、鼻の粘膜への刺激を抑えながら汚れをやさしく洗い流せます。特に花粉の多い時期は、外出後に行うことで症状の悪化を防ぐ効果も期待できます。

市販の鼻うがい製品を使用する場合は、必ず使用上の注意を守り、無理のない範囲で行いましょう。誤った方法で行うと、かえって不快感やトラブルの原因になるケースもあります。

耳抜きをする

耳が詰まったような感覚がある場合は、耳抜きによって耳管の通りが改善し、症状が軽くなることがあります。耳抜きは中耳の圧を調整する方法として広く知られており、比較的簡単に行えるのが特徴です。

一般的な方法としては、以下のような手順で行います。

  1. 鼻を軽くつまむ
  2. 口を閉じる
  3. 鼻から息を吐くように軽く力を入れる

この動作により耳管に空気が通り、耳の詰まりが解消されることがあります。

ただし、耳抜きがなかなかできない場合に強く息を吹き込むと、耳に負担がかかるため注意が必要です。この場合は無理に続けず、耳鼻咽喉科の受診を検討しましょう。

室内環境を調整する

室内環境を整えるのも、花粉症による鼻や耳の負担を軽減するために重要です。花粉や乾燥などの刺激を減らすことで、症状の悪化を防げます。

具体的には、以下の対策を行いましょう。

  • 室内を適度に加湿する
  • 空気清浄機を使用する
  • こまめに換気や掃除を行う

特に乾燥した環境では鼻の粘膜が敏感になりやすく、症状が悪化しやすいです。適切な湿度を保つと粘膜の状態を整え、耳管の機能低下を防ぐことにもつながります。日常的に環境を整えることで、耳や鼻の不調を予防しやすくなります。

花粉症による難聴の予防方法

花粉症による耳の詰まりや聞こえにくさは、花粉の影響をできるだけ減らすことと、体調を整えることによって予防につながる場合があります。日常生活の中で少し意識するだけでも、症状の悪化を防ぎやすくなります。

花粉対策をする

花粉症による耳や鼻の症状を防ぐために重要なのは、できるだけ花粉を体内に取り込まないことです。外出時にはマスクや花粉防止メガネの着用によって、鼻や目への花粉の侵入を防ぎやすくなります。コンタクトレンズ着用は、眼瞼結膜に花粉が付着しやすくなるだけでなく、コンタクトレンズに花粉が付着し、継続的に目の症状が出やすくなる原因となります。花粉症の時期はメガネをなるべく使用しましょう。

また、木綿や化学繊維などの花粉が付きにくい素材の服を選ぶことも効果的です。花粉が多く飛ぶ日は外出を控えたり、洗濯物の外干しを避けたりすることも予防につながります。

帰宅後は手洗い・うがい・洗顔を行い、衣類に付着した花粉をしっかり落としましょう。さらに、鼻の入り口にワセリンを薄く塗ることで、花粉の侵入を防ぐ方法もあります。

体調を良好な状態にする

日頃から生活習慣を整え、免疫力を保つことも花粉症対策として重要です。体調が整っていると、アレルギー反応が過剰に起こりにくくなると考えられています。

具体的には、十分な睡眠をとること、栄養バランスのよい食事を心がけることが基本です。また、ストレスをためないようにするのも大切で、適度な休息やリラックスできる時間を意識的に取り入れると良いでしょう。さらに、喫煙や過度な飲酒は粘膜に負担をかけるため控えることが望ましいです。

花粉症による難聴で受診すべき目安

本来、花粉症による耳の詰まりや聞こえにくさを防ぐためには、症状が重くなる前に医療機関を受診し、治療を始めることが大切です。花粉の症状が出るか出ないかくらいの飛散初期の段階から薬を使用しつづけると、鼻の炎症を抑えやすくなり、結果として耳の違和感の悪化を防ぐことが期待できます。

また、次のような症状がある場合は、花粉症だけでなく別の病気が関係している可能性もあるため注意が必要です。

  • 耳が詰まった感じが数日以上続く
  • 聞こえにくさがあり、日常生活に支障が出ている
  • 強い耳鳴りや耳の痛みがある
  • 発熱がある
  • 耳から分泌物(耳だれ)が出ている

これらの症状がみられる場合は、自己判断で様子を見るのではなく、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。適切な診断と治療を受けることで、症状の悪化や長期化を防げます。

まとめ:花粉症による耳の不調を改善するために

花粉症は鼻や目の症状だけでなく、耳にも影響を及ぼし、耳の詰まりや聞こえにくさといった難聴のような症状を引き起こすケースがあります。その主な原因は、鼻の炎症や粘膜のむくみによって耳管の働きが低下し、中耳の圧力がうまく調整できなくなるからです。多くの場合は一時的な症状ですが、耳鳴りや違和感が続くと日常生活に支障をきたす場合もあります。

セルフケアとしては、市販薬の活用や鼻うがい、耳抜き、室内環境の調整などにより、鼻や耳への負担を軽減することが重要です。また、花粉をできるだけ避ける対策や、生活習慣を整えて体調を良好に保つことも予防につながります。

一方で、症状が長引く場合や強い耳鳴り、痛みなどを伴う場合は注意が必要です。花粉症以外の病気が関係している可能性もあるため、早めに耳鼻咽喉科を受診し、適切な診断と治療を受けましょう。

執筆

聞こえと暮らし研究所 編集部

聞こえや難聴に関する正しい理解を広めるとともに、補聴器をはじめとする聴覚ケアの最新情報や、快適な聞こえを支える工夫を発信しています。日々の暮らしに寄り添う情報提供を通じて、聞こえに悩む方々の生活の質(QOL)向上に貢献していきます。

監修

小島 敬史

現国立病院機構栃木医療センター耳鼻咽喉科医長。
全例で補聴器適合検査を行い、補聴器の処方についても自ら特性図・適合検査結果を確認、調整の指示を行っている。

【略歴】
2006年、慶應義塾大学医学部卒。臨床研修修了後、2008年より同大学耳鼻咽喉科学教室へ所属。日本耳鼻咽喉科学会専門医、指導医取得。耳科、聴覚を専門とし、臨床研究や基礎研究に従事する。2018年から2020年、米国ノースウェスタン大学耳鼻咽喉科頭頸部外科でポストドクトラルフェローとして先天性難聴の蛋白機能解析に関する基礎研究に従事。2013年慶応義塾大学病院耳鼻咽喉科で難聴・耳鳴外来を担当。宇都宮方式での補聴器処方を学ぶ。

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