[3]補聴器購入、3つの方法(店舗、通販、訪問サービス)~メリットとデメリットを徹底解説!

補聴器を購入しようと考えたとき、「どこで買えばいいのだろう」と迷われる方は少なくありません。現在、補聴器の購入方法は大きく分けて3つあります。それは「店舗」「通販」「訪問サービス」です。

それぞれの購入方法には、異なる特徴があり、メリットとデメリットがあります。生活スタイルや身体の状態、重視したいポイントによって、最適な購入方法は変わってきます。例えば外出が困難な方には、訪問サービスが便利。できるだけ費用を抑えたい方には、通販が有力な選択肢となります。

しかし、補聴器は単なる商品ではなく、聴力の状態に合わせた調整(フィッティング※1)が必要な医療機器です。購入後のアフターサービスも含めて、長期的な視点で購入方法を選ぶことが重要です。

本記事では、それぞれの購入方法について、具体的な特徴やメリット・デメリット、どのような方に適しているかを詳しく解説します。最適な補聴器購入方法を見つける手助けとなれば幸いです。

※1……フィッティング(調整):個人の聴力データに基づいて、補聴器の音質や音量を最適化する作業

1. 購入方法①:店舗

店舗での購入の概要

補聴器専門店や補聴器メーカー直営店、眼鏡店の補聴器コーナーなどで購入する方法です。補聴器専門店や補聴器メーカー直営店の多くには、認定補聴器技能者※2などの専門スタッフが常駐しており、聴力測定から補聴器の選定、フィッティング、アフターサービスまで、トータルなサポートを受けることができます。

※2……認定補聴器技能者:公益財団法人テクノエイド協会が認定する、補聴器に関する専門的な知識と技術を持った資格者

店舗での購入の流れ

  1. 予約または来店して聴力測定を実施する
  2. 測定結果と生活環境やお困りの場面についてのカウンセリングに基づき、専門スタッフから補聴器の提案を受ける
  3. 実際に補聴器を試用して、装着感や聞こえ具合を確認する
  4. 聞こえ具合やサポート内容、価格などに納得したら購入する

多くの店舗では、数週間から1カ月程度の無料試聴期間(レンタル期間)を設けており、日常生活で実際に使用してから購入を決定できます。

また購入後も、定期的な調整やメンテナンス、聴力の変化に応じた再調整など、継続的なサポートを受けられます。

店舗での購入のメリットとデメリット

【メリット】

  • 専門家による丁寧なカウンセリングと測定が受けられる
  • 試聴とフィッティング(音の微調整)が充実している
  • 定期点検、クリーニング、聞こえの変化に合わせた調整など、保証やアフターサポートが手厚い
  • 重度難聴や複雑な症状にも対応してもらえる

【デメリット】

  • 専門家の人件費や店舗の運営費が必要なため、価格がやや高めになりやすい
  • 店舗まで足を運ぶ必要があるため、外出が難しい方や忙しい方には負担となる
  • 調整に複数回の来店が必要なことが多い
  • 眼鏡店の補聴器コーナーの場合、専門家が常駐していなかったり、細かなサポートが受けられないことがある

店舗での購入が適している方

店舗での購入は、以下のような方にオススメです。

  • 初めて補聴器を購入する方
  • しっかりとしたフィッティングを受けたい方
  • 店舗への移動が可能な方
  • アフターサポートを重視する方
  • 対面でのコミュニケーションを好む方

2. 購入方法②:通販

通販での購入の概要

ネットショップで購入する方法です。補聴器専門の通販サイトや補聴器メーカー直販サイトのほか、楽天市場やAmazonなどでも販売されています。

通販での購入の流れ

  1. 通販サイトで、商品の詳細情報や価格を比較検討する
  2. 商品を選択し、注文手続きを行う
  3. 自宅に商品が届いたら、説明書を見ながら自分で装着して調整を行い、使用を開始する

一部の通販サイトでは、電話やメールでの相談サポートや、返品保証制度を設けているところもあります。

集音器※3との区別が難しい商品も販売されていますが、医療機器認証を受けた正式な補聴器を選ぶことが重要です。

※3……集音器:周囲の音を単純に大きくする機器。医療機器ではないため、装着時に、聴力に悪影響が出来るような大きな音が出る可能性がある

通販での購入のメリットとデメリット

【メリット】

  • 専門家の人件費や店舗の運営費が不要なため、価格が比較的安い
  • 24時間いつでも注文できるため、仕事や家事の合間に、ゆっくり時間をかけて検討できる
  • 自宅で商品を受け取れるため、外出が難しい人でも購入しやすい
  • 複数の通販サイトなどを見ることで、豊富な商品ラインアップから選べる

【デメリット】

  • 専門家による丁寧なカウンセリングと測定、試聴が受けられない
  • フィッティング(音の微調整)を自ら行う必要がある
  • 定期点検、クリーニング、聞こえの変化に合わせた調整といった、保証やアフターサポートが弱い
  • 重度難聴や複雑な症状への対応が難しい

通販での購入が適している方

通販での購入は、以下のような方にオススメです。

  • 軽度難聴で、簡易的な補聴器を試してみたい方
  • できるだけ費用を抑えたい方
  • 既に補聴器の使用経験があり、自分で設定や操作できる方
  • 外出、店舗への移動が難しい方

3. 購入方法③:訪問サービス

訪問サービスでの購入の概要

補聴器の専門スタッフが直接ご自宅や介護施設などを訪問し、聴力測定から補聴器の選定、販売、フィッティング、アフターサービスまでを提供します。店舗と同様の専門的なサポートを、普段暮らしている場所で受けられることが最大の特長です。

訪問サービスでの購入の流れ

  1. インターネットや電話などで訪問日時を予約する
  2. 予約した日時に、専門スタッフが自宅など指定した場所へ訪問。聴力測定を行う
  3. 測定結果とライフスタイルのヒアリングに基づき、専門スタッフから補聴器の提案を受ける
  4. 実際に補聴器を試用して、装着感や聞こえ具合を確認する
  5. 聞こえ具合やサポート内容、価格などに納得したら購入する

購入後も、定期的な調整やメンテナンス、聴力の変化に応じた再調整など、継続的なサポートを受けられます。

訪問サービスでの購入のメリットとデメリット

【メリット】

  • 移動の負担がないので、外出が難しい人でも購入しやすい
  • 自宅リビングやテレビの音、家族との会話など、生活環境に合わせた「実際の聞こえ」を確認できる
  • 自宅や施設でも専門家による丁寧なカウンセリングと測定が受けられる
  • 試聴とフィッティング(音の微調整)が充実している
  • クリーニング、聞こえの変化に合わせた調整など、保証やアフターサポートが手厚い
  • 自宅や施設でも重度難聴や複雑な症状にも対応してもらえる

【デメリット】

  • 販売店やメーカーによって、対応エリアが限られている場合がある
  • 訪問可能な日時が限られており、調整が必要となる
  • 補聴器販売店によっては、出張費などが別途必要な場合がある

訪問サービスでの購入が適している方

訪問サービスでの購入は、以下のような方にオススメです。

  • しっかりとしたフィッティングを受けたい方
  • 自宅の環境で聞こえを試したい方
  • 外出、店舗への移動が難しい方
  • 家族と一緒に自宅で相談したい方
  • アフターサポートを重視する方
  • 対面でのコミュニケーションを好む方

まとめ:大切なのは「自分に合った購入方法を選ぶ」こと

補聴器の購入方法について詳しく見てきましたが、最も重要なのは「あなた自身に合った購入方法を選ぶ」ことです。

まずは外出が可能かどうか、店舗への移動が負担にならないかを考えましょう。歩行が困難な方、公共交通機関の利用が難しい方、運転ができない方などは、訪問サービスが適している場合が多いです。

次に、難聴の程度とこれまでの補聴器の使用経験について考えましょう。初めて補聴器を使用する方や、中等度以上の難聴の方は、専門家による丁寧なサポートが受けられる店舗購入や訪問サービスがオススメです。軽度難聴の方や、とりあえず簡易的な補聴器を試してみたい方は 、通販での購入という選択肢も有力となります。

さらに、価格について考えることも重要です。この場合、初期費用だけでなく、長期的なメンテナンス費用も含めて考えることがポイント。通販は初期費用が安いものの、調整やメンテナンスにかかる費用や手間を考慮する必要があります。店舗や訪問サービスは初期費用が高めでも、購入後のサポートが充実していることが多いです。

判断に迷うようなら、まずは店舗や訪問サービスで無料相談を受けてみることをオススメします。専門家に直接相談することで、ご自身に最適な購入方法が見つかることも多いものです。多くの店舗や訪問サービスでは、相談だけなら無料で対応してくれます。

あなたに最適な購入方法を見つけることで、豊かなコミュニケーションと、より快適な日常生活への道が開けるはずです。

執筆

聞こえと暮らし研究所 編集部

聞こえや難聴に関する正しい理解を広めるとともに、補聴器をはじめとする聴覚ケアの最新情報や、快適な聞こえを支える工夫を発信しています。日々の暮らしに寄り添う情報提供を通じて、聞こえに悩む方々の生活の質(QOL)向上に貢献していきます。

執筆協力

横井 孝治

介護アドバイザー。All About【介護】ガイド。
長期にわたる両親の介護を通して身につけた有益な介護情報を発信・共有するため、2006年に株式会社コミュニケーターを設立。2007年に介護家族や介護予備軍向けの情報サイト「親ケア.com」をオープン。800回を超える講演活動のほか、各種メディアにも数多く登場。YouTube「親ケア.com【公式】チャンネル」は、登録者数2.9万人以上。

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