将来の聞こえを守るために|耳にうれしい栄養素とおすすめレシピ

2026.03.03
難聴

聞こえの変化は年齢のせいと思われがちですが、実は食事などの日々の生活習慣も関わっていることをご存知ですか?耳の一部の器官は血流の悪化や酸化ストレスに弱く、栄養バランスが乱れると聞こえの低下につながる可能性があります。

この記事では、聞こえと栄養の関係性をはじめ、耳の健康に役立つ栄養素やおすすめレシピまでわかりやすくご紹介します。将来の耳の健康を保ちたい方は、ぜひこの記事を参考に、毎日の食事と生活習慣を見直すきっかけにしてください。

栄養と聞こえの関係性

耳の健康を守るためには、毎日の食事で栄養バランスを意識することが大切です。耳の中で音を感じ取る「有毛細胞」や、音の情報を脳へ伝える「聴神経」は、加齢だけでなく、食事や運動といった生活習慣の影響を受けやすい器官です。特に、血流の悪化や酸化ストレスが続くと働きが低下しやすくなり、音を正確に捉えにくくなってしまいます。その結果、少しずつ難聴が進行する原因にもなります。

有毛細胞や聴神経へのダメージによって低下してしまった聴力は、自然に元へ戻ることは非常に困難です。だからこそ将来の聞こえを守るためには、食生活をはじめとした日々の生活習慣を見直し、難聴の進行をできるだけ抑えることが重要です。耳の機能維持に役立つ栄養素を意識して取り入れることが、長く健やかな聞こえを保ちます。

耳を守るために大切なこと

耳を守るための基本は、炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルといった栄養素をバランスよく含む食事を、1日3食規則正しく摂ることです。偏った食生活や暴飲暴食が続くと、血流が悪くなったり、神経の働きが低下したりと、耳の健康にも悪影響を及ぼします。

特に聴力の低下を抑えるためには、次のような働きを持つ栄養素を意識して取り入れることが大切です。

  • 血流を改善する栄養素:耳のすみずみまで酸素や栄養を届け、耳の機能低下を防ぐ働きがある。
  • 細胞を酸化ストレスから守る栄養素:有毛細胞などのダメージを抑え、老化の進行を防ぐ。
  • 神経の修復や働きを助ける栄養素:聴神経の健康を保つ。

このような栄養を日々の食事で積極的に摂ることが大切です。毎日の積み重ねが、将来の聞こえを支える大きなポイントになります。

聞こえの機能に関連する主な栄養素

次に、耳の機能維持に役立つとされる代表的な栄養素と、含まれる食品例をわかりやすく紹介します。
※栄養量については、文部科学省「食品成分データベース」に準拠しています。

ビタミンB12

ビタミンB12は、音の情報を脳へ伝える「聴神経」の働きを支える栄養素です。神経の修復・再生に関わるほか、血流を通して内耳へ酸素や栄養が届きやすくすることで、聴覚機能の維持に役立つとされています。耳鳴りや難聴の治療薬に使用されることもあります。

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食品 100gあたりの栄養量
しじみ(水煮) 82.0 µg
牛のレバー(生) 53.0µg
カラフトマス(焼き) 7.9µg
鶏の卵黄(生) 3.5µg
プロセスチーズ 3.2µg

ビタミンB3

ビタミンB3(ナイアシン)は、体内でのエネルギー代謝を助け、細胞の修復にも関わる栄養素です。内耳の細胞を保護する可能性も指摘されており、耳の健康を支える栄養として注目されています。

食品 100gあたりの栄養量
まいたけ(乾) 64.0mg
かつお節 45.0mg
落花生(大粒・煎り) 23.0mg
ビンナガマグロ(生) 21.0mg
鶏むね肉(皮無し・焼き) 18.0mg

ビタミンC

ビタミンCは強い抗酸化作用をもち、活性酸素による内耳細胞のダメージを抑える働きがあります。加齢・騒音・ストレスなどによる酸化ストレスから耳を守り、難聴の進行リスクを下げる働きが期待されています。

食品 100gあたりの栄養量
青汁 1100.0mg
焼きのり 210.0mg
赤ピーマン(油炒め) 180.0mg
ブロッコリー(焼き) 150.0mg
キウイフルーツ(黄肉種・生) 140.0mg

ビタミンE

ビタミンEは「抗酸化ビタミン」のひとつで、細胞の老化や酸化を抑える働きがあります。血中のLDLコレステロールの酸化を抑制したり、赤血球の破壊を防いだりすることで、内耳への血流をサポートし、聴覚細胞や聴神経の健康維持に役立つとされています。

食品 100gあたりの栄養量
(α-トコフェロール
煎茶 65.0mg
ひまわり油 39.0mg
アーモンド(煎り) 29.0mg
うなぎ(かば焼き) 4.9mg
アボカド 3.3mg

※ビタミンEはα−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロールの4種類にわかれます。

オメガ3脂肪酸

オメガ3脂肪酸は血中の脂質や血管機能の維持に関係し、内耳の細い血管まで栄養と酸素を届けやすくする栄養素です。血流悪化による耳のトラブルを軽減し、加齢性難聴のリスク抑制とも関連があると考えられています。

食品 100gあたりの栄養量
えごま油 61.3g
あまに油 59.5g
ごまさば(焼き) 3.1g
うるめいわし(丸干し) 1.09g
さんま(皮付き・焼き) 4.95g

葉酸

葉酸は赤血球の産生を助け、酸素や栄養を全身へ届ける働きを支える栄養素です。聴神経や内耳へ必要な酸素・栄養が届きやすくなる他、細胞の再生をサポートすることから、耳の組織機能の維持にも関与するとされています。

食品 100gあたりの栄養量
焼きのり 1900.0µg
枝豆(ゆで) 260.0µg
きなこ(全粒大豆・黄大豆) 220.0µg
ほうれん草(生) 210.0µg

マグネシウム

マグネシウムは300種類以上の酵素を活性化させるミネラルで、神経伝達や血圧の調整など、体のさまざまな働きに関わります。血管を広げて血流を整える作用もあり、耳の血流を保つためにも役立つと期待されています。

食品 100gあたりの栄養量
あおさ(素干し) 3200.0mg
あおのり(素干し) 1400.0mg
わかめ(乾・素干し) 1000.0mg
干しエビ 520.0mg
切り干し大根(乾) 160.0mg

亜鉛

亜鉛は細胞の修復やタンパク質合成に関わる必須ミネラルです。聴覚細胞の代謝や再生を支えるほか、抗酸化酵素の構成成分として内耳を酸化ストレスから守る働きもあります。

食品 100gあたりの栄養量
牡蠣(水煮) 18.0mg
かぼちゃ(煎り・味付け) 7.7mg
かたくちいわし(煮干し) 7.2mg
ごま (煎り) 5.9mg
牛肉の赤肉(もも・生) 4.5mg

聞こえのために過剰摂取を避けるべき食品

聞こえの健康を守るためには、耳に良い栄養素を積極的に摂るだけでなく、耳に負担をかけやすい食品を過剰に摂らないことも重要です。ここでは、聞こえのために注意したい食品の代表例を紹介します。

カフェインを含む食品

カフェインは適量であれば眠気覚ましや集中力向上に役立ちますが、過剰に摂取すると不安や動機、睡眠障害につながります。睡眠の質やストレスは耳鳴り・体調全般にも影響しやすいため、量とタイミングに気をつけましょう、有毛細胞や聴神経に十分な酸素や栄養が届きにくくなる可能性があります。

コーヒー、紅茶、緑茶などは身近な飲み物ですが、摂取量や飲む時間帯に注意することが大切です。コーヒーであれば、1日にマグカップで3杯程度までを目安にしましょう(健康な成人の場合)。

糖質の多く含む食品

菓子パンやお菓子、ジュースなど、糖質を多く含む食品を摂り過ぎると、血糖値が急激に上昇し、内耳の血管の血流を悪化させる可能性があります。さらに、糖質の過剰摂取は糖尿病のリスクを高め、神経障害や血管障害を引き起こす原因にもなります。それによって、より難聴リスクが高まるため気をつけてください。

脂質の多く含む食品

加工肉、マーガリン、カップラーメンなど、脂質を過剰に摂取すると、血中コレステロールが増え、血管の内側が狭くなりやすくなります。その結果、血流が悪化し、耳への栄養供給も滞ってしまいます。また、脂質の摂り過ぎは酸化ストレスを増やし、細胞の老化を進める原因にもなるため注意しましょう。

聞こえを守るためのおすすめレシピ

耳に嬉しい栄養素を含む食材を組み合わせた、忙しい日でも作りやすいおすすめレシピを紹介します。

抜群の抗酸化力!鯖とブロッコリーの中華和え

“耳の健康を意識したい日”に、サバのDHA・EPA(オメガ3系)と、ブロッコリーの葉酸・ビタミンC、ひらたけのナイアシンを組み合わせた、抗酸化力の高い副菜にも主菜にもなる一皿です。缶詰×電子レンジで、忙しい日にもささっと作ることができます。

材料(2人分)
  • サバ缶(水煮) 1缶(150-190g)
  • ブロッコリー 1/2株
  • ひらたけ   1/2袋
  • 白いりごま  適量

味付け

  • ポン酢 小さじ2
  • ごま油  小さじ1
作り方
  1. ブロッコリーは小房に分け、耐熱容器に入れて電子レンジ(600W)で約1分30秒〜2分加熱し、ひらたけも同様に電子レンジで1分加熱する。
  2. ボウルに、軽く汁気を切ったサバを入れ、粗めにほぐす。
  3. (2.)にブロッコリー、ひらたけも入れ、味付けの調味料を加えて、さっと和えたら器に盛り、ごまをふりかける。
調理ポイント
味付けは、食べる直前に和えるのがおすすめです。

ボリューム満点!牛肉とパプリカのカシューナッツ炒め

耳の健康に良いとされるビタミンB12・亜鉛を多く含む赤身の牛肉。赤・黄パプリカでビタミンC・Eも一緒に取り入れられる炒め物です。
仕上げのカシューナッツは亜鉛・マグネシウム豊富。食感と満足感を上げてくれるので、「しっかり食べた感」が欲しい日に◎

材料(2人分)
  • 牛もも肉 150g
  • 赤パプリカ 1/2個
  • 黄パプリカ 1/2個
  • カシューナッツ(無塩・砕いたもの) 50g
  • 油     小さじ1

味付け

  • 調味料A
    • しょうが(すりおろし) ひとかけ ※チューブ可
    • にんにく(すりおろし) ひとかけ ※チューブ可
    • オイスターソース 大さじ1/2
  • 酒 大さじ1
  • 醤油 小さじ1
  • 砂糖 ひとつまみ
作り方
  1. 調味料Aを合わせておく。
  2. 牛肉とパプリカを細切りにする。
  3. フライパン油を熱し、牛肉を加え中火で炒める。
    肉に7割ほど火が通ったら、パプリカを加えて強火で炒め合わせる。
  4. 調味料Aを入れ、強火で、フライパンを揺らしながら全体に調味液を絡める。
    味をみて、砂糖をひとつまみ加える。
  5. 仕上げにカシューナッツを加え、さっと炒めたら完成。
調理ポイント
パプリカは加熱しすぎると水分が出て水っぽくなります。
鮮やかに仕上げるためにも、強火で短時間で加熱すると良いです。

葉酸×ビタミンB12で整う一皿。ほうれん草とあさりの含め煮

ほうれん草の葉酸と、あさりのビタミンB12に加えて、マグネシウム・亜鉛も一緒に摂れる含め煮です。高野豆腐を合わせてたんぱく質もプラスし、食べ応えのある一品に。あさりの旨みが出るので、だし要らずで手軽に作れます。

材料(2〜3人分)
  • ほうれん草 1/2束
  • アサリ水煮缶 65g
  • 高野豆腐 2枚

味付け

  • 水   200cc
  • 酒   大さじ1
  • みりん 大さじ1/2
  • 醤油  小さじ1
  • 塩  小さじ1/4強
作り方
  1. ほうれん草は茹でて5cm幅に切り、しっかり水気を絞る。
  2. 高野豆腐は水に浸し、戻ったらしっかり水気を絞って、4等分に切る。
  3. 鍋に水200ccと【味付け】の材料・アサリの汁だけを入れて火にかける。
    沸騰したらアサリと高野豆腐を入れる。弱めの中火で8分ほど煮る。
  4. 高野豆腐がふっくら煮えたら、仕上げに茹でておいたほうれん草を加え、さっと煮汁に浸す程度に温めれば完成。
調理ポイント
アサリの水煮缶は汁ごと使うことで、旨みが増すので捨てずに使用します。

聞こえに関わるサプリメントの摂り方

毎日の食事だけで必要な栄養素を十分に摂れない場合は、サプリメントで補うのもおすすめです。特に、ビタミンB群・葉酸・オメガ3脂肪酸などは、耳の健康維持に役立つ成分として注目されています。

ただし、サプリメントは薬のように頼るものではありません。1日3食の食事を基本にしながら、不足しがちな栄養素を補う目的で取り入れることが大切です。

また、安全に取り入れるために次の点にも注意しましょう。

  • 持病のある人・薬を飲んでいる人は医師に相談してから摂取する
  • 一度に多くの種類を飲みすぎない

食事以外でもできる難聴の予防方法

難聴は食事だけでなく、日々の生活習慣を整えることでも予防につながります。耳への負担を減らすために、以下の運動・睡眠・環境対策などを意識して取り入れましょう。

運動習慣をつける

適度な運動は全身の血流を改善するため、内耳の血管にも栄養や酸素が届きやすくなります。ウォーキングなど無理なく続けられる運動を習慣化することが大切です。

十分な睡眠を取る

睡眠不足が続くと耳の疲労が回復しにくくなり、難聴が進みやすくなる可能性があります。毎日しっかり睡眠時間を確保し、規則正しい生活リズムを心がけましょう。

騒音環境を避ける

大きな音にさらされる時間が長いほど、耳へのダメージは蓄積していきます。ライブ会場や工事現場など騒音が多い場所では、耳栓を使うなど対策を心がけましょう。

禁煙をする

喫煙は血流を悪化させ、内耳に十分な酸素や栄養が届きにくくなる原因になります。難聴予防のためにも、禁煙や本数を減らす意識を持つことが重要です。

イヤホンを長時間つけない

イヤホンを長時間使い続けると耳への負担が蓄積し、難聴の進行が加速する可能性があります。連続使用を避けてこまめに耳を休ませるとともに、テレビや音楽も必要以上に大きな音で聞かないよう心がけましょう。

まとめ:毎日の食事が将来の聞こえを支える

聞こえの健康を守るためには、耳の機能低下に関わる血流悪化や酸化ストレスを防ぐために、日々の食生活を整えることが大切です。1日3食の規則正しい食事を摂るだけでなく、ビタミンB12・葉酸・オメガ3脂肪酸・亜鉛など、聴神経や内耳の働きを支える栄養素も意識してみてください。食事に加えて運動や睡眠、騒音対策などの生活習慣も見直し、将来の聞こえを守る習慣を積み重ねていきましょう。

執筆

聞こえと暮らし研究所 編集部

聞こえや難聴に関する正しい理解を広めるとともに、補聴器をはじめとする聴覚ケアの最新情報や、快適な聞こえを支える工夫を発信しています。日々の暮らしに寄り添う情報提供を通じて、聞こえに悩む方々の生活の質(QOL)向上に貢献していきます。

監修

小島 敬史

現国立病院機構栃木医療センター耳鼻咽喉科医長。
全例で補聴器適合検査を行い、補聴器の処方についても自ら特性図・適合検査結果を確認、調整の指示を行っている。

【略歴】
2006年、慶應義塾大学医学部卒。臨床研修修了後、2008年より同大学耳鼻咽喉科学教室へ所属。日本耳鼻咽喉科学会専門医、指導医取得。耳科、聴覚を専門とし、臨床研究や基礎研究に従事する。2018年から2020年、米国ノースウェスタン大学耳鼻咽喉科頭頸部外科でポストドクトラルフェローとして先天性難聴の蛋白機能解析に関する基礎研究に従事。2013年慶応義塾大学病院耳鼻咽喉科で難聴・耳鳴外来を担当。宇都宮方式での補聴器処方を学ぶ。

レシピ監修

渡邊 早貴

管理栄養士/食・健康分野専門セールスライター
管理栄養士としての栄養学の知見をもとに、腸活レシピや麹調味料を取り入れたレシピ監修を行う。素材本来の味をいかした調理法と、家庭で再現しやすいレシピ設計を得意とし、日常の食事から体調を整える食習慣を提案。食・健康分野に特化したセールスライターとしても活動し、専門知識と生活者視点を掛け合わせた情報発信を行っている。

【略歴】
女子栄養大学 栄養学部 実践栄養学科卒業。受託給食会社に入職後、病院での献立作成業務に従事。その後、老人ホームで約8年間管理栄養士として栄養管理を担当する。コロナ禍をきっかけに、素材の味をいかした料理と腸内環境を整える食事を伝える料理教室を開始。現在は食・健康分野に特化したセールスライターとして、レシピ監修や健康コンテンツ制作など幅広く活動している。

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